境界確定測量を行った結果、「登記簿に書いてある面積と、実際に測った面積が違っていた」というのは決して珍しいことではありません。「増えた分、税金が上がるのでは」「減ったら損をするのでは」と不安になる方も多いのですが、まずは仕組みを正しく知ることが大切です。この記事では、地積が増減する理由と、登記簿の面積を実測値に合わせて直す「地積更正登記」の手続き・費用について、福岡市南区を拠点とする土地家屋調査士が解説します。

公簿面積と実測面積とは?

「公簿面積」とは、法務局に登記されている登記簿上の地積(面積)のことです。一方「実測面積」とは、現地で実際に測量した結果算出される面積を指します。この2つの数値は、本来一致しているべきものですが、実務上はズレが生じているケースが少なくありません。

特に古くから存在する土地では、明治時代の地租改正や、その後の測量技術・測量機器の精度の制約から、公簿面積と実測面積に一定の差が生じていることが珍しくありません。境界確定測量を行い、隣接地所有者の立会・確認を経て正確な地積を算出した結果、公簿面積と異なる数値が出てくることがあります。

なぜ地積が増減するのか

地積にズレが生じる主な原因には、次のようなものがあります。

  • 測量技術・機器の精度の違い:古い時代の測量は現在ほど精度が高くなく、公簿面積の算出時点での誤差がそのまま残っていることがあります。
  • いわゆる「縄伸び」「縄縮み」:かつて縄や鎖を使って測量していた時代、実際より短く測って申告する(=結果的に実測より広い=縄伸び)、あるいはその逆(縄縮み)が生じていたと言われています。課税逃れなど当時の事情が背景にあるとされますが、現在ではその真偽を確認するすべはなく、あくまで結果としての差として扱います。
  • 地図混乱地域・地図に準ずる図面の精度:公図(地図に準ずる図面)は現地の形状を必ずしも正確な縮尺で表現していない場合があり、これをもとに算出された公簿面積と実測値がずれることがあります。
  • 境界確定の結果による筆界の見直し:隣接地との境界確定測量の結果、従来認識されていた筆界の位置が現地でわずかに異なる位置に確定されることで、面積が変わることがあります。
  • 国土調査(地籍調査)の未実施:地籍調査が完了している地域では現況に近い精度の高いデータが備え付けられていますが、未実施の地域では公簿面積の精度が低いままになっていることがあります。

つまり、地積の増減は多くの場合「今回の測量や境界確定に問題があったから」ではなく、「過去の公簿面積の精度が現在の測量技術に比べて低かったから」生じるものだとご理解ください。

地積が増加した場合の一般的な影響

増加した場合に一般的に関係してくること
  • 登記簿上の面積が増えるため、翌年度以降の固定資産税の評価に影響する可能性があります
  • 売却予定がある場合、実測面積をもとにした売買価格の見直しにつながることがあります
  • 大幅な増加の場合、贈与や相続との関係で税務上の確認が必要になることもあります
減少した場合に一般的に関係してくること
  • 登記簿上の面積が減るため、固定資産税評価が下がる方向に働くことがあります
  • 売却予定がある場合、実測面積に基づく売買価格の見直しが必要になることがあります
  • 住宅ローンの担保評価や建築計画(建ぺい率・容積率の計算等)に影響する場合があります
⚠ 税金・売買価格の具体的な影響は個別事情によって異なります 固定資産税や売買価格への影響は、自治体の評価方法や契約内容によって大きく異なるため、この記事では一般的な仕組みのご紹介にとどめています。具体的な税額や契約条件については、税務署・自治体の資産税課、または税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。当事務所は登記の表示に関する専門家であり、税務相談や個別の税額算定は行っておりません。

実測に合わせて登記簿を直す必要性

公簿面積と実測面積にズレがあることが判明した場合、そのまま放置していても直ちに罰則があるわけではありません。ただし、売却・相続・分筆・建築計画など、正確な面積が必要になる場面では、実測に基づいて登記簿の面積を訂正しておく必要があります。この訂正のための登記が「地積更正登記」です。

地積更正登記とは

地積更正登記とは、登記簿に記載されている地積(公簿面積)を、実測により算出した正しい地積に訂正するための登記です。境界確定測量によって隣接地所有者全員の確認を得たうえで、確定した筆界に基づき正確な地積を算出し、その数値に登記簿を合わせます。

地積更正登記を行うためには、原則として隣接するすべての土地について境界(筆界)が確定している必要があります。境界が一部でも未確定のままでは、地積更正登記を申請することができません。

手続きの流れ

  1. 1
    資料調査・現地測量 登記簿・公図・過去の測量図などを調査し、現地で測量を行います。境界確定測量とあわせて実施するのが一般的です。
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    境界確定(隣接地との立会・確認) 隣接するすべての土地所有者・官公署の立会・確認を経て、筆界を確定します。
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    地積の算出・比較 確定した筆界に基づき正確な地積を算出し、公簿面積との差を確認します。
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    地積測量図・申請書類の作成 地積測量図(新しい面積を示す図面)や登記原因証明情報など、申請に必要な書類一式を作成します。
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    法務局への登記申請 土地家屋調査士が代理人として法務局へ申請します。調査士報告方式によりオンラインでの申請も可能です。
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    登記完了・登記事項証明書の確認 登記完了後、登記簿上の地積が実測値に更新されます。登記事項証明書を取得してご確認いただけます。

費用の目安

地積更正登記は境界確定測量とあわせて行うのが一般的なため、費用は境界確定測量の報酬と一体で発生することが多くなります。単独での目安は以下の通りです。

条件 報酬の目安(税込)
地積更正登記のみ(境界確定済み・測量図あり) 5万円〜15万円程度
境界確定測量とあわせて実施 30万円〜(境界確定測量の報酬に含む)

隣接地の筆数や現況の複雑さによって金額は大きく変動します。事前に詳細なお見積もりを無料でご提示しますので、お気軽にお問い合わせください。

⚠ 「測量図あり」でもそのまま流用できるとは限りません 「境界確定済み・測量図あり」の場合でも、既存の地積測量図が法務局に提出可能な精度(世界測地系による測量成果など、平成17年の不動産登記法改正以降の基準を満たすもの)でない場合は、そのまま流用して地積更正登記だけを単独で申請することは認められないのが実務上の一般的な取扱いです。古い任意座標系の測量図などの場合は、基準点に基づく再測量が別途必要になり、その分の追加費用が発生することがあります。

よくある質問

Q. 地積が増えたら必ず地積更正登記をしないといけませんか?

法律上、地積更正登記が義務付けられているわけではありません。ただし、売却・相続・分筆・建築計画などで正確な面積が必要になった際には、実測値との整合性を求められることが多く、その時点で地積更正登記が必要になるケースが一般的です。

Q. 地積が減った場合、損をすることになりますか?

登記簿上の面積が減ることで、固定資産税評価や売買価格に影響する可能性はありますが、「損」かどうかは個別の事情によります。実測に基づく正確な情報に更新することは、将来の取引や相続の際のトラブル防止につながるというメリットもあります。

Q. 境界確定測量をすれば必ず地積が変わりますか?

必ず変わるわけではありません。公簿面積と実測面積がほぼ一致しているケースも多くあります。地積更正登記が必要(可能)になるのは、実測の結果、公簿面積との間に不動産登記規則で定められた「誤差の限度(公差)」を超えるズレが確認された場合です。

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高橋將太(土地家屋調査士)

高橋將太土地家屋調査士事務所(福岡市南区大楠)。境界確定・建物登記・地目変更など不動産登記全般に対応。福岡県土地家屋調査士会会員。