「土地の一部だけを売りたい」「相続した土地を兄弟で分けて相続したい」「広い敷地の一部に家を建てたい」——こうした場面で必要になるのが分筆登記です。一筆の土地を登記上複数の区画に分ける手続きで、境界の確定測量とセットで進めるのが一般的です。このページでは分筆登記の基本、手続きの流れ、費用の目安についてわかりやすく解説します。

分筆登記とは?

分筆登記とは、登記簿上一つの地番として扱われている土地(一筆の土地)を、二つ以上の地番に分ける登記手続きです。分筆すると、それぞれの区画に新しい地番が付与され、以後は別々の土地として売買・相続・担保設定などができるようになります。逆に、複数の土地を一つにまとめる手続きは「合筆登記」と呼ばれます。

分筆登記を申請するには、分筆線(新しく生まれる境界線)の位置を確定させ、その位置を示す「地積測量図」を作成して法務局に提出する必要があります。この地積測量図の作成が土地家屋調査士の専門業務です。

どんなときに分筆登記が必要?

  • 広い土地の一部だけを売却したいとき
  • 相続した土地を複数の相続人で分けて取得したいとき(現物分割)
  • 一筆の土地の一部にだけ家を建て、残りは別用途にしたいとき
  • 土地の一部の地目(用途区分)だけを変更したいとき(地目変更登記の前提として分筆が必要になる場合)
  • 親から子へ、土地の一部だけを生前贈与したいとき
  • 開発行為や建築確認の関係で、敷地を区画ごとに分ける必要があるとき

不動産会社から「売却する部分だけ分筆してください」と依頼されるケースや、相続の遺産分割協議で「共有ではなく分筆して単独所有にしたい」というケースが特に多く見られます。

なお、一筆の土地のうち一部だけ地目(用途区分)が変わった場合は、そのままでは登記できず、分筆登記とあわせて地目変更登記を申請する必要があります(例:畑の一部だけを宅地として造成した場合など)。この場合の分筆は任意ではなく、登記上必要な手続きとなります。

手続きの流れ(全7ステップ)

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    ご依頼・資料収集・現地調査 登記簿・公図・地積測量図などを取得し、対象地の現況と過去の記録を照合します。分筆したい位置(分割の希望案)もこの段階でヒアリングします。
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    境界確定測量 分筆する土地の全周(隣接地との境界)が未確定の場合、先に境界確定測量を行います。隣接所有者・道路や水路を管理する官公署との立会・確認を経て、筆界を確定させます。
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    分筆線(分割案)の検討・確定 接道条件・面積のバランス・将来の利用計画などを踏まえ、どこで土地を区切るかを依頼者と相談しながら決定します。
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    分筆点の測量・境界標の設置 確定した分筆線上に新たな境界点を設け、測量したうえでコンクリート杭や金属プレートなどの境界標を設置します。
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    筆界確認書の取り交わし 境界確定測量で新たに確認した箇所について、隣接土地所有者と筆界確認書を取り交わします。
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    地積測量図の作成・分筆登記の申請 分筆後の各土地の形状・面積を示す地積測量図を作成し、土地家屋調査士が代理人として法務局に分筆登記を申請します。
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    登記完了・成果物のお引渡し 登記が完了すると新しい地番が付与されます。登記完了証・地積測量図の写しなどをお渡しします。売却や相続手続きは、この完了後に進めることができます。
⚠ ポイント 分筆登記では、土地全体の境界確定を行うのが望ましいとされています。ただし取引・利用目的や既存資料の状況によっては、分筆線(新たに生じる境界)に関わる範囲の確定で対応できる場合もあります。過去に境界確定測量を行っていない土地では、必要な範囲の測量から着手することになり、その分の期間・費用がかかる点にご留意ください。

分筆時に注意したいポイント

接道義務を満たしているか

分筆後の各土地が建築基準法上の接道義務(原則として幅員4m以上の道路に2m以上接すること)を満たさないと、その土地には将来建物を建てられなくなる可能性があります。分筆線を決める前に、必ず接道条件を確認します。

面積の按分と税金への影響

分筆後の各土地の固定資産税評価額は、原則として面積比などに応じて按分されます。売却や贈与を目的とする分筆では、分筆後の評価額が贈与税・譲渡所得税にどう影響するか、税理士とも連携して確認されることをおすすめします。

抵当権が設定されている場合

分筆対象の土地に抵当権(住宅ローンなど)が設定されている場合、分筆後は原則としてすべての土地に抵当権がそのまま存続します(共同担保)。分筆後の土地の一部だけを売却したり担保を外したりしたい場合は、金融機関の同意を得たうえで「抵当権消滅承諾」などの手続きを別途行う必要があります。司法書士・金融機関とのスケジュール調整も早めに行いましょう。

費用の目安

費用は境界確定測量の要否・隣接地の数・分筆後の筆数によって大きく変わります。以下はあくまでも目安です。

条件 報酬の目安(税込)
既に境界確定済み・2筆に分筆 15万円〜30万円程度
境界確定測量から必要・宅地(隣接地2〜3筆) 40万円〜70万円程度
3筆以上への分筆、または農地・山林・大規模地 個別見積もり

上記に加え、境界標の材料費・登記申請の登録免許税(分筆により増加した筆数1筆につき1,000円。例:1筆を2筆に分ける場合は1,000円、1筆を3筆に分ける場合は2,000円)・法務局での証明書取得費用などが別途かかります。ご依頼前に詳細なお見積もりを無料でご提示しますので、お気軽にお問い合わせください。

期間はどのくらいかかる?

既に境界が確定している土地であれば、分筆線の検討から登記完了までおおむね1〜2か月程度です。境界確定測量から必要な場合は、隣接所有者との調整も含めて2〜4か月程度を見ておくと安心です。相続が発生している土地や隣接地が多い場合は、さらに時間がかかることもあります。

売却や相続手続きのスケジュールが決まっている場合は、逆算して早めにご相談いただくことをおすすめします。

よくある質問

Q. 分筆にかかる費用はどのくらいですか?

既に境界が確定している土地を2筆に分ける場合で15万円〜30万円程度、境界確定測量から必要な宅地(隣接地2〜3筆)で40万円〜70万円程度が目安です。これに加えて、登録免許税(増加した筆数1筆につき1,000円)や境界標の材料費などの実費が別途かかります。土地の形状・隣接地の数・農地や山林かどうかによって変動するため、正確な金額はお見積もりでご確認ください(現地確認・お見積もりは無料です)。

Q. 分筆登記は自分で申請できますか?

制度上は所有者ご本人が申請することも可能です。ただし分筆登記には地積測量図の作成が必須であり、これは土地家屋調査士でなければ実務上ほぼ対応できません。境界確定を伴う測量や隣接地権者との調整も専門的な知識が必要なため、多くの場合は調査士へのご依頼が現実的です。

Q. 隣地との境界が全部確定していないと分筆できませんか?

土地全体の境界確定を行うのが原則ですが、実際の法務局の運用では、分筆線(新たに生じる境界)に関わる部分の確定が確認できれば、分筆登記自体は受理・完了できるケースも少なくありません。一方で、売買の相手方や融資を行う金融機関が全周の境界確定を条件とすることも多く、実務上は全周確定まで行うケースも多く見られます。個別の状況によって判断が異なるため、まずは現況をご確認させてください。

Q. 分筆後の土地の広さに最低限の決まりはありますか?

分筆登記そのものに全国一律の最低面積の制限はありませんが、都市計画区域内では自治体の条例(いわゆる「最低敷地面積」の制限)により、分筆後の土地に建物を建てられる最低面積が定められていることがあります。建築目的で分筆する場合は、事前に自治体の条例を確認します。

福岡市・福岡県内で分筆登記・境界のことで
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高橋將太(土地家屋調査士)

高橋將太土地家屋調査士事務所(福岡市南区大楠)。境界確定・建物登記・地目変更・分筆登記など不動産登記全般に対応。福岡県土地家屋調査士会会員。