親が亡くなり実家の土地・建物を相続したとき、「どこへ何を頼めばいいのか」わからないという方は非常に多くいらっしゃいます。不動産に関わる登記手続きには「土地家屋調査士」と「司法書士」の2種類の専門家が関わりますが、それぞれ担当できる業務が異なります。このページでは両者の役割の違いと、相続時に確認すべきポイントを福岡市南区の土地家屋調査士・高橋將太が整理します。
登記には2種類ある
不動産登記は大きく2種類に分かれます。
- 表示に関する登記――土地・建物の「物理的な状況」(所在・地目・地積・建物の種類・構造・床面積など)を公示するもの。土地家屋調査士の業務。
- 権利に関する登記――所有権・抵当権・地上権など「権利の変動」を公示するもの。司法書士の業務。
相続の場面では両方が必要になることも多く、土地家屋調査士と司法書士が連携して対応するケースが一般的です。
土地家屋調査士と司法書士の違い
| 項目 | 土地家屋調査士 | 司法書士 |
|---|---|---|
| 担当する登記 | 表示に関する登記(土地・建物の物理的状況) | 権利に関する登記(所有権移転・抵当権など) |
| 相続時の主な業務 | 境界確定測量・分筆登記・建物表題登記・地目変更登記・未登記建物の新規登記など | 相続による所有権移転登記(名義変更)・遺言書の検認申立て・成年後見申立てなど |
| 測量・現地調査 | 行う(国家資格として測量権限あり) | 行わない |
| 相談すべきタイミング | 境界や建物の状況を確認したいとき、未登記建物があるとき、土地を分けたいとき | 名義変更(所有権移転)が必要なとき、遺産分割協議書を作成するとき |
相続時に確認すべき5つのポイント
-
登記簿(登記事項証明書)を取得する
法務局またはオンラインで取得できます。所有者名・地積・地目・建物の有無・抵当権の残債などを確認します。 -
未登記建物がないか確認する
古い建物は登記されていないケースがあります。登記簿に載っていない建物を売却・担保設定するには、まず表題登記が必要です。 -
境界標(杭・プレート)が現地にあるか確認する
境界標がない・隣地との境界が不明な場合は、売却前に境界確定測量が必要になります。早めに確認しておくと安心です。 -
地目(土地の用途)が現況と一致しているか確認する
「登記上は農地(田・畑)だが現況は宅地」というケースは手続きが複雑になります。地目変更登記が必要な場合があります。 -
相続人を確定し、遺産分割協議の方向性を決める
不動産を誰が取得するか決まらないと、どの手続きも進みません。まず相続人全員で話し合いを行いましょう。
相続登記の義務化について
2024年4月1日から、相続による不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記(所有権移転登記)を行うことが義務化されました(不動産登記法第76条の2)。正当な理由なく期限内に申請しない場合、10万円以下の過料の対象となります。
また、この義務化は過去に相続が発生した土地・建物にも遡って適用されます(経過措置:2027年4月1日まで)。「何年も前に親が亡くなったまま名義変更していない」という土地は、早急に手続きを検討する必要があります。
手続きの全体の流れ
- 相続人の確定・遺産分割協議――戸籍を収集して相続人を確定し、誰が何を取得するか決定します。
- 登記簿・現地の状況確認――未登記建物・境界・地目など、表示に関する問題がないか調査します(土地家屋調査士)。
- 表示に関する登記の申請――必要に応じて表題登記・地目変更・分筆などを先行して行います(土地家屋調査士)。
- 相続による所有権移転登記――名義変更(相続登記)を行います(司法書士)。
- 完了・登記識別情報(権利証)の受領――所有権移転手続きの完了後、新たな権利証(登記識別情報通知)が発行されます。
よくある質問
Q. 相続した土地を売却したいのですが、何から始めればいいですか?
まず登記簿(登記事項証明書)を取得して現状を確認することをお勧めします。名義変更が済んでいなければ先に相続登記が必要です。また、売却には境界が確定していることを求められるケースが多いため、境界の状況も早めに確認しておくと安心です。
Q. 農地を相続した場合、手続きは複雑になりますか?
農地(田・畑)の場合、相続による所有権移転は農業委員会への届出が必要です(農地法第3条の3)。また、農地を宅地として利用したい場合は農地転用許可(農地法第4条・第5条)の手続きも必要になります。土地家屋調査士・司法書士・行政書士が連携して対応します。
Q. 土地が複数の相続人の共有になっています。売却するには全員の同意が必要ですか?
共有不動産を売却するには原則として共有者全員の同意が必要です(民法第251条)。遺産分割協議で単独所有にしてから売却するか、共有者全員が売主として契約する方法が一般的です。まずは司法書士にご相談ください。
相続した土地・建物の登記手続きについて
福岡市・福岡県内のご相談をお受けしています。
まずは現状の確認からお気軽にどうぞ。