「土地を売りたい」「実家を相続した」——不動産に関する手続きが必要になったとき、多くの方が最初につまずくのが「そもそも誰に相談すればいいのか分からない」という点です。土地家屋調査士、司法書士、行政書士、不動産会社と、似たような場面で名前が挙がる専門家は複数ありますが、それぞれ役割はまったく異なります。相談先を間違えると、手続きが二度手間になったり、必要な準備が漏れたりすることもあります。この記事では、それぞれの専門家の役割の違いと、よくあるケース別にどこへ相談すればよいかを、福岡市南区の土地家屋調査士・高橋將太が解説します。

不動産の手続きに関わる4つの専門家とその役割

不動産に関する手続きは、内容によって担当する専門家がはっきり分かれています。まずはそれぞれの役割を整理しておきましょう。

専門家 主な業務
土地家屋調査士 土地の境界を確定する境界確定測量、地目変更登記、建物の表題登記・滅失登記など「表示に関する登記」を担当。土地・建物の物理的な現況を登記簿に正しく反映させる測量と調査の専門家です。
司法書士 所有権移転登記、相続登記、抵当権の設定・抹消登記など「権利に関する登記」を担当。誰が所有者かという権利関係を登記簿に反映させる法律の専門家です。
行政書士 官公署への各種許認可申請(農地転用許可など)や契約書類の作成を担当。不動産分野では、農地を宅地に転用する際の申請などで関わることがあります。
不動産会社 不動産の売買・賃貸の仲介、価格査定、買主・借主探しを担当。宅地建物取引業者として、売却や購入の窓口となります。
📌 「登記」には2種類あります 不動産登記は「表示に関する登記」(土地家屋調査士の担当)と「権利に関する登記」(司法書士の担当)に分かれます。たとえば古い建物を解体した場合は建物滅失登記(土地家屋調査士)、相続で名義を変える場合は相続登記(司法書士)というように、目的によって窓口が異なります。

よくあるケースで見る「誰に相談すべきか」

実際の相談では、複数の専門家が順番に関わることも珍しくありません。よくあるケースを見てみましょう。

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    相続した実家の土地を売りたい
    まず相続登記が済んでいるか確認(司法書士)。境界が不明確な土地であれば境界確定測量(土地家屋調査士)。売却活動は不動産会社が窓口になります。相続した土地の登記手続きについては相続した土地の登記手続き|土地家屋調査士と司法書士、どちらに頼む?でも詳しく解説しています。
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    古い建物を解体して更地にした
    解体後1か月以内に建物滅失登記(土地家屋調査士)が必要です(不動産登記法57条)。その後、更地としての売却・活用を不動産会社に相談する流れが一般的です。詳しくは建物を解体したら必ず必要な「建物滅失登記」とはをご覧ください。
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    隣地との境界がはっきりしないまま売却したい
    境界が未確定のまま売買契約を進めると、後々のトラブルや契約の遅延につながることがあります。売却相談と並行して、早めに境界確定測量(土地家屋調査士)を進めておくとスムーズです。
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    農地を宅地に転用して活用・売却したい
    農地転用許可の申請(行政書士)と、地目変更登記(土地家屋調査士)の両方が必要になるケースです。転用の可否は農業委員会の判断によるため、早めの相談が安心です。

バラバラに相談すると時間もコストもかかる理由

それぞれの専門家に個別に、しかも前提を共有しないまま相談すると、同じ内容の説明を何度も行ったり、必要書類を取り直したりする手間が発生しがちです。たとえば境界が未確定のまま売買契約の話だけが進んでしまうと、契約直前になって測量が必要だと分かり、決済のタイミングが後ろ倒しになる——というのはよくある例です。

逆に、相談の入り口で「今回の手続き全体で何が必要になりそうか」を把握できれば、必要な専門家へ無駄なく引き継ぐことができます。専門家同士が情報を共有しながら進めることで、書類の重複取得や手戻りを減らし、結果として手続き全体の期間短縮にもつながります。

当事務所が地域の専門家と連携している理由

土地家屋調査士が担当する境界確定測量や表題登記は、相続登記(司法書士)や売却活動(不動産会社)の「前提」となることが多く、手続きの入口に位置することが少なくありません。そのため当事務所では、福岡市南区・城南区・中央区をはじめとする地域の不動産会社様、司法書士事務所様、行政書士事務所様と日頃から情報交換を行い、必要に応じてスムーズにご紹介・お引き継ぎができる体制を心がけています。

「まず誰に相談すればいいか分からない」という状態で構いません。境界や測量に関わる可能性がある案件であれば、当事務所にご相談いただければ、状況に応じて必要な専門家へおつなぎすることも可能です。ご相談内容が司法書士や行政書士など他士業の専門範囲であると判断した場合は、当事務所で無理にお引き受けすることなく、速やかに適切な専門家をご紹介いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

よくある質問

Q. 土地家屋調査士と司法書士の違いは何ですか?

登記には「表示に関する登記」と「権利に関する登記」があります。土地家屋調査士は境界確定測量や地目変更登記、建物の表題登記・滅失登記など「表示に関する登記」を、司法書士は所有権移転登記や相続登記など「権利に関する登記」を担当します。状況によっては両方への依頼が必要になります。

Q. 相続した不動産の手続きは、まず誰に相談すればいいですか?

まずは登記状況(名義・境界)を確認することから始めるとスムーズです。境界が不明確な土地であれば土地家屋調査士に、相続登記自体は司法書士に相談します。窓口に迷う場合は、境界や測量に関わる部分のある土地家屋調査士にまずご相談いただくと、必要な専門家へつなげやすくなります。

Q. 土地を売却する前に土地家屋調査士に相談すべき場合はありますか?

隣地との境界がはっきりしない土地や、登記簿上の面積と実際の面積が異なる可能性がある土地は、売却前に境界確定測量を行っておくことをおすすめします。境界が未確定のまま契約を進めると、後のトラブルや契約の遅延につながることがあります。

Q. 複数の専門家にバラバラに依頼すると、費用や時間はどうなりますか?

各専門家が個別に前提の確認からやり直すことで、同じ説明を繰り返す手間や、想定より手続き全体が長引くことがあります。最初の相談段階で全体の流れを把握し、必要な専門家へスムーズに引き継げれば、書類の重複取得や手戻りを減らせます。

「まず誰に相談すればいいか分からない」という方も
福岡市(南区拠点)をはじめ春日市・大野城市・久留米市など福岡県内で幅広くご相談をお受けしています。
境界・測量に関わる部分から、お気軽にご相談ください。

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高橋將太(土地家屋調査士)

高橋將太土地家屋調査士事務所(福岡市南区大楠)。ドローン・GIS・ITを活用した測量登記業務を展開。境界確定・建物登記・地目変更など不動産登記全般に対応。福岡県土地家屋調査士会所属(登録番号 第2489号)。