隣り合う複数の土地を、登記簿の上で1つの土地にまとめる手続きが合筆登記です。「相続した隣り合う土地を一体で使いたい」「売却や建築の前に土地を整理したい」といった場面で行われます。合筆登記には、合筆できない土地の条件があり、委任状・印鑑証明書・登記識別情報などの書類も必要です。この記事では、申請の流れと必要書類、完了後に受け取るものを順に解説します。逆に一つの土地を分ける手続きは分筆登記の解説記事をご覧ください。

先に結論:合筆登記の3つのポイント
  1. 合筆できない土地がある:接続していない、地目や所有者・持分が違う、権利の登記の状況が違う、などの場合は合筆できません。
  2. 所有権の登記がある土地では、印鑑証明書と登記識別情報が必要:印鑑証明書は発行から3か月以内のもの。委任状には、その印鑑証明書と同じ印(実印)を押します。登記識別情報は、合筆前のいずれか1筆分で足ります。
  3. 完了後は、新しい登記識別情報通知と登記完了証を受け取る:合筆後の土地について、法務局から新しい登記識別情報が通知されます。

合筆登記とは?

合筆登記とは、登記簿上で別々の地番になっている隣り合う複数の土地(複数の「筆」)を、1つの地番の土地にまとめる登記です。合筆すると、まとめた土地には1つの地番が付き、面積は合筆前の各土地の面積を合計したものになります。分筆登記の反対の手続きです。

合筆登記は、土地の形状や境界そのものを変える手続きではないため、原則として新たな測量や地積測量図の提出は必要ありません。ただし、境界や面積に不明な点がある場合は、測量や地積更正登記を別に検討することがあります。

合筆できない土地

不動産登記法では、次のような土地は合筆できないとされています。申請前に、すべての土地がこれらに当てはまらないことを確認します。

  • 互いに接続していない土地:離れている土地や、点でしか接していない土地は合筆できません。
  • 地目や地番区域が異なる土地:たとえば「宅地」と「畑」は、先に地目変更登記で地目をそろえる必要があります。
  • 所有者(登記名義人)が異なる土地:名義が違う土地は、そのままでは合筆できません。
  • 共有の持分が異なる土地:共有の場合は、持分の割合がそろっている必要があります。
  • 所有権の登記がある土地とない土地の組み合わせ:登記簿の権利部に所有権の記録がある土地と、表題部だけの土地は、一緒に合筆できません。
  • 所有権以外の権利の登記がある土地:抵当権などの登記がある土地は、原則として合筆できません(同じ内容の担保権の登記があるなど、一部に例外があります)。

申請の流れ(全6ステップ)

  1. 1
    ご相談・資料の収集 合筆したい土地の地番をお伺いし、登記事項証明書(登記簿)や公図を取得して、現在の登記の状況を確認します。
  2. 2
    合筆できる土地かの確認 上記の条件(接続・地目・所有者・持分・権利の登記の有無)を、登記簿と現地の状況で確認します。地目が違う場合や、住所・氏名の変更が必要な場合は、先に別の登記を行います。
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    必要書類の準備 委任状へのご署名・押印、印鑑証明書、登記識別情報(権利証)をご用意いただきます。
  4. 4
    申請書の作成・法務局への申請 合筆後の土地の面積などを記載した申請書を作成し、土地家屋調査士が代理人として申請します。申請方法は、窓口・郵送・オンラインがあります。
  5. 5
    法務局での審査 書類の内容に不備があれば、法務局から補正(訂正)の連絡があります。必要に応じて、調査士が対応します。
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    登記完了・書類の受け取り 登記が完了すると、合筆後の土地について新しい登記識別情報通知と登記完了証が発行されます。完了までの期間は法務局の混み具合によって変わるため、目安は管轄法務局が公表している「登記完了予定日」で確認できます。内容を確認してお渡しします。

必要書類

所有権の登記がある土地を合筆する場合の主な書類です。

書類内容・注意点
委任状所有者が土地家屋調査士に申請を委任する書類。印鑑証明書と同じ印(実印)を押します。
印鑑証明書所有権の登記名義人(所有者)のもの。発行から3か月以内。所有権の登記がない土地同士の合筆では不要です。
登記識別情報(または登記済証)合筆前のいずれか1筆分で足ります。所有権の登記がない土地同士の場合は不要です。
登記事項証明書・公図通常は調査士が法務局で取得します。
登録免許税(収入印紙)合筆後の土地1個につき1,000円。

委任状と印鑑証明書について

所有権の登記がある土地の合筆登記では、所有者の印鑑証明書(発行から3か月以内)が必要です。代理人である調査士ではなく、所有者本人のものが必要で、委任状には、この印鑑証明書と同じ印(実印)で押印していただきます。

登記識別情報を紛失している場合

登記識別情報(権利証)が見つからない場合でも、合筆の申請ができなくなるとは限りません。ただし、登記識別情報を提供できない場合は、申請書にその理由を記載し、追加の本人確認の手続きが必要になることがあります。時間や費用が増えることがあるため、紛失が分かっている場合は、申請の前にご相談ください。

共有名義の場合

共有名義の土地では、共有者の構成や持分によって、必要な書類や申請の進め方が変わります。事前に状況をうかがったうえで、個別にご案内します。

⚠ 住所・氏名が登記簿と違うときは 申請する所有者の住所・氏名は、登記簿の記載と一致している必要があります。引っ越しや改姓などで登記簿の記載と異なる場合は、先に住所・氏名の変更登記を行います(権利に関する登記のため、司法書士の業務です)。

登記完了後に受け取るもの

  • 新しい登記識別情報通知:合筆後の土地について、法務局から新しい登記識別情報が通知されます。今後の売却や担保設定などで必要になる大切な書類で、再発行はされません。厳重に保管してください。
  • 登記完了証:登記が完了したことを示す書類です。
  • 合筆後の地番:合筆後の地番は、登記官が定めます。取扱いの基準では、原則として合筆前の土地のうち首位(最も若い番号)の地番とされていますが、特別な事情がある場合は異なることもあります。

受け取り方法は、窓口・郵送・オンラインがあります(オンラインでの受け取りは、オンラインで申請した場合に限られます)。合筆前に受け取っていた古い権利証(登記識別情報)も、念のため捨てずに保管しておくと安心です。登記が完了したら、登記事項証明書で、合筆後の内容を確認します。

費用の目安

費用は、報酬と実費に分かれます。以下はあくまでも目安です。

項目金額の目安
土地家屋調査士の報酬(2〜4筆程度の合筆、税込)3万円〜6万円程度
登録免許税合筆後の土地1個につき1,000円
証明書の取得費用など実費

たとえば、3筆の土地を1筆にまとめる場合の登録免許税は1,000円です。所有権の登記がない土地同士の合筆では、登録免許税はかかりません。合筆対象の筆数や登記簿の状況によって報酬は変わります。詳しくは料金の目安のページをご覧ください。正式な金額は、現地を確認のうえ無料でお見積もりします。

注意したいポイント

合筆後に、元のように戻すには分筆が必要

合筆した土地を再び分けるには、分筆登記が必要です。分筆には境界の確認や測量などの手続きがかかり、合筆前の境界線がそのまま復元されるとは限りません。将来、土地の一部を売却する予定がある場合などは、合筆するかどうかを慎重に検討してください。分筆については分筆する前に確認したいこともご覧ください。

固定資産税への影響

合筆すると、土地の評価・課税は、まとまった1筆の土地として行われます。評価額や税額が変わる場合があるため、税額の見込みについては、税理士または土地が所在する市区町村の税務担当窓口(福岡市の場合は市税事務所)にご確認ください。登記のタイミングと固定資産税の関係は固定資産税は登記のタイミングで変わるの記事も参考にしてください。

相続した土地を合筆する場合

相続した土地を合筆するときは、先に相続登記で名義を整理する必要があります。相続登記は司法書士の業務です(相続した土地の登記手続き)。相続登記は、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請することが義務付けられています(相続登記の義務化の解説)。

よくある質問

Q. 合筆登記は自分で申請できますか?

制度上は所有者ご本人が申請することもできます。ただし、合筆できる土地かどうかの判断(接続・地目・所有者・持分・権利の登記の有無など)や、申請書の作成、登記簿と住所・氏名が合っているかの確認が必要です。判断を誤ると申請が受け付けられないため、多くの場合は土地家屋調査士へのご依頼が現実的です。

Q. 登記識別情報(権利証)をなくしてしまった場合は、合筆できませんか?

合筆の申請自体ができなくなるとは限りませんが、登記識別情報を提供できない場合は、申請書にその理由を記載し、追加の本人確認の手続きが必要になることがあります。時間や費用が増える場合があるため、紛失が分かっている場合は、申請の前にご相談ください。

Q. 合筆登記の費用はどのくらいですか?

当事務所の目安では、2〜4筆程度の合筆で3万円〜6万円程度です。これに加えて、登録免許税(合筆後の土地1個につき1,000円)や証明書の取得費用などの実費が別途かかります。土地の数や状況によって変わるため、正確な金額はお見積もりでご確認ください(現地確認・お見積もりは無料です)。

Q. 合筆したあとに、また元のように分けることはできますか?

分筆登記を行えば分けることはできますが、分筆には境界の確認や測量などの手続きが必要で、合筆前の境界線がそのまま復元されるとは限りません。合筆は、将来分ける可能性も踏まえて慎重にご検討ください。

※この記事は一般的な内容を解説したものです。実際の手続きや必要書類は、土地の状況や法務局の取り扱いによって異なる場合があります。

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高橋將太(土地家屋調査士)

高橋將太土地家屋調査士事務所(福岡市南区大楠)。境界確定・建物登記・地目変更・分筆登記など不動産登記全般に対応。福岡県土地家屋調査士会所属(登録番号 第2489号)。