「測量」と聞いて、どんな仕事を想像しますか?道端で三脚を立てて機械をのぞいている人——そんなイメージを持たれる方が多いと思います。確かにそれも測量の一場面ではあるのですが、実際の仕事はもう少し……いろいろあります。今回は現場の実情を、少しだけ正直にお話しします。
機械を立てる前が、むしろ本番
測量の仕事で最初に行うのは、現地に行くことではありません。法務局で登記記録を取得し、公図・地積測量図・土地台帳などの資料を集めるところから始まります。古い測量図には手書きのものもあり、数十年前の記録と現地の状況を照らし合わせながら「もともとの境界はここだったはずだ」と推測していく——地道な読解作業が続きます。
資料が揃ったところでようやく現地へ。機械(トータルステーション)を据え付けて観測を始めるのですが、現地がきれいに整地されていることはまれです。竹やぶをかき分けながら、あるいは急傾斜の法面を慎重に降りながら、境界標の痕跡を探すこともあります。
「境界標があった場所」を探す、という仕事
境界標(コンクリート杭や金属プレート)は、一度設置されたら永遠にそこにあるわけではありません。工事で動いてしまうこともあれば、長年の間に地中に沈んでいることもあります。「あるはずの杭がない」という状態で始まる調査は、珍しいことではありません。
雑草や根っこをかき分けて、地面に顔を近づけながら探します。夏場の草刈りは体力仕事です。
測量は晴れの日に限りません。夏の炎天下も、冬の北風の中も、予定が入れば現場に出ます。
土地の境界は、数ミリのずれが隣地との関係に影響します。機械の据え付け・観測・計算のすべてを丁寧に行い、後から「違う」とならないよう確認を重ねます。
境界を確定するには、隣接するすべての土地の所有者に現地へ来ていただく必要があります。日程調整のやり取りも、調査士の大切な仕事のひとつです。
「数字」に、土地の歴史が宿っている
測量の結果として得られるのは座標値や距離といった「数字」です。しかしその数字の背景には、何十年も前にその土地を測った先人の仕事があり、当時の地権者たちが立会い確認した記録があります。古い測量図を手にするたびに、その時代に現地で働いた調査士の苦労を想像します。
現在残っている境界標の多くは、昭和の国土調査や分筆登記の際に設置されたものです。数十年前の仕事が今の私たちの基準になっている。そのことを意識すると、自分の仕事が後の世代に引き継がれるものだという感覚を持ちます。雑に済ませられない理由のひとつです。
それでも、この仕事をしている理由
正直に言えば、体が楽な仕事ではありません。事務所でパソコンに向かう時間と、外で汗をかく時間が両方あります。隣地の方との調整がうまくいかず、長期化する案件もあります。
それでも、境界が確定して「これでやっと安心して売れます」とおっしゃっていただいたとき、あるいは長年の懸案だった土地の問題が解決したときの言葉は、やはり次の仕事の原動力になります。
測量と登記は、土地に関わるすべての取引・相続・建築の「最初の一歩」です。その一歩を、きちんと踏み固める仕事だと思っています。
過去と現在と未来をつなぐ作業です。
土地・建物の登記・測量に関するご相談は
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