土地家屋調査士試験は、市販の教材が決して多くありません。「この勉強法で本当に合っているのか」という不安を抱えながら勉強していたのは、私だけではないと思います。今回は資格の紹介的な話ではなく、私が実際に合格した年と、不合格だった年の両方を振り返りながら、択一・記述それぞれとどう向き合っていたかを、できるだけ正直にお話しします。
教材が少ないという不安との付き合い方
土地家屋調査士試験は、他の資格試験と比べて市販の教材・問題集の選択肢が多くありません。予備校に通う余裕があるなら、利用するに越したことはないと思います。答練や模試で自分の立ち位置を知れますし、記述の解法パターンを体系的に教えてもらえるのは大きな助けになります。
ただ、個人的に一番大事だと感じているのは、予備校に通うかどうかより、過去問を確実に、正確に理解することです。教材の少なさに不安を感じるのは自然なことですが、過去問という一次資料は誰にでも平等に手に入ります。何年分もの過去問を「なんとなく解けた」で終わらせず、なぜその答えになるのかを一問ずつ潰していく作業が、結局は一番の教材になると思っています。
近年の傾向|未経験者には歯が立たない記述も出る
ただし正直に言うと、直近の試験では、実務未経験の受験生では太刀打ちしづらい記述問題が出ることがあります。過去問だけでは見たことのないような設定、実務的な判断力を問うような出題です。こういう問題に当たったとき、大事なのは「わからないから」とあきらめないことです。部分点狙いでもいいので、記憶を総動員して埋める。空欄のまま出すのと、わかる範囲で埋めて出すのとでは、結果が大きく変わります。
「択一満点・記述足切り回避」という定石について思うこと
予備校などでは以前から「択一は満点近くを狙い、記述は足切りさえ回避すればいい」という戦法がよく言われていました。私自身の考えは少し違います。
記述――問題の意図を正確に理解できるかどうかがすべて。「この問題は結局、何をさせたいのか」さえ理解できれば、足切りは免れますし、体感として8割くらいは取れます。
逆に、問題の意図を理解できないまま解き始めてしまうと、焦りがどんどん強くなり、頭が真っ白になって、その動揺が次の問題まで引きずってしまいます。記述は最初の「意図の理解」でほぼ勝負が決まると言っても大げさではないと思っています。
取り組み方|全体像を掴んでから、細部を掘り下げる
記述問題に取り組むときに意識していたのは、いきなり細部を追いかけるのではなく、まず問題文全体で「結局、何を伝えたいのか」という大筋を掴むことでした。ここさえ理解できれば、そのあとの細かい情報は自然と頭の中に残っているので、読み戻るときも「あれ、これって何だったっけ」「この人は誰だったっけ」くらいの、さらっとした確認で事足ります。そこから初めて、細部を一つずつ掘り下げていく――という順番です。
逆に、大筋の理解ができないまま細部を追ってしまうと、不安が拭えず、気づけばいつの間にかずっと同じ箇所を読み返している……という状態に陥ります。もしそうなってしまったら、無理にそのまま読み進めるより、一度気持ちを落ち着けてリセットし、最初から問題に取り組み直したほうがいいというのが実感です。
時間配分|択一は最大30分、記述は建物から
時間配分についても、自分なりの型を決めていました。択一は20分で終わらせる、どれだけ時間がかかっても30分以内、というのを上限にしていました。記述は私は建物から解いていく派で、理想は建物45分、土地は残りの時間すべて。もし時間が余れば、択一で迷った問題だけを見直す――という優先順位です。
合格した年の話
合格した年は、問題文を読みながら「ふむふむ、なるほどね、こうしたいんだな」と一つずつ納得しながら、問題文にマーカーを引いたり簡単な書き込みをしたりして、そのまま一気に解き切りました。ちなみに、この年は構成用紙は使いませんでした。
時間の面でも、不合格だった年と比べると余裕がありました。記述は建物・土地とも予定通りのペースで進み、20分ほど時間が余って、一応最後まで完答できました。
択一は16問正解で40点(50点満点)、記述は土地20.5点・建物20.0点(それぞれ25点満点)でした。狙っていた「どの分野でも最低8割」という目標に、択一・記述土地・記述建物のすべてが結果として近い点数でまとまったのは、たまたまではあります(択一は勘違いによるミスが2問あったので、本当は18問取れていたはずです)。択一はどれだけ準備しても、本番では凡ミスをしてしまうものだと思っています。「最低16問、運が良ければ満点」くらいの気持ちでいるのが、一番精神的にちょうどいいというのが実感です。
不合格だった年の話
一方、不合格だった年はまったく逆でした。問題の意図が理解できないまま焦りが先に立ち、頭が真っ白になって、何度も問題文を読み直しながら構成用紙に書いては消し、書いては消しを繰り返していました。結局、本質をつかめないまま、時間切れのような形で答案を仕上げることになりました。
時間配分も完全に崩れていました。理想は建物45分のところ、45分では終わらずそのまま土地に移動。土地に移ってからも焦りは抜けず、頭のどこかでずっと建物のことが気になったまま、目の前の土地の問題に集中しきれない状態が続きました。今振り返ると、こうなってしまった原因はすべて、問題を正確に把握できていなかったことに尽きると反省しています。
その年は、総合の合格基準点自体は4点上回っていました。それでも、記述の足切り点にわずか0.5点届かず、不合格でした。試験が終わって落ち着いてから改めて問題文をペラペラと読み返すと、「あーー、そういうことか……」と、なぜあの場で気づけなかったのかと愕然としたのを今でも覚えています。
読みながら意図を理解 → マーカーと簡単な書き込み → 一気に解答。構成用紙は不使用。
意図が掴めないまま焦る → 頭が真っ白になる → 構成用紙に書いては消しを繰り返す → 本質をつかめないまま終了。
同じ「記述式の試験問題」でも、意図を理解できたかどうかで、解き方も、かかった時間も、そして結果もまったく違うものになりました。合格・不合格を分けたのは、知識量そのものというより、問題文と向き合う最初の数分間だったように思います。
「今、この問題は何を聞いているのか」を
落ち着いて理解する力が試される試験でした。
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